道路使用許可、道路占用許可とは?その違いや必要性を解説
道路使用許可と占用許可の違いとは?
道路上の工事や、看板の設置、軒先の日よけが敷地をこえる場合には、道路法・道路交通法に
基づいた申請をする必要があります。
道路は公共の財産であり、通行の妨害や公平な利用ができなくなる行為をしてはいけない為です。
その為、道路を通行以外の目的で使用する為には、道路使用許可や占用許可が必要になります。
今回は似た制度で分かりにくい、道路使用許可と占用許可の違いや必要性について解説いたします。
道路使用許可申請・道路占用許可申請の概要
道路交通法第76条では、道路の安全や円滑な交通を確保するために、禁止されている行為があります。
【禁止行為】
第七十六条 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
2 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
3 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。
六 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。
七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
道路交通法/e-GOV法令検索
例えば、無断で道路上に物を置いて通行を妨害したり、道路上の人や車を損傷させるおそれのある物を
投げるなどの行為は禁止されています。
また、無断で工事を行い工作物を設置することも原則として禁止されています。
道路使用許可申請とは
禁止行為が定められている一方、交通の妨害や危険がなく、その目的に社会的な価値があれば、要件を
満たし警察署長の許可を得て道路を使用することが可能です。
この道路使用許可は道路交通法第77条1項を根拠としたもので、道路を通行目的以外で利用する場合に
必要な許可となります。
許可が必要なケース
- (1号許可)道路において工事もしくは作業をしようとする行為
- (2号許可)道路に石碑、広告板、アーチ等の工作物を設けようとする行為
- (3号許可)場所を移動しないで、道路に露店、屋台等を出そうとする行為
- (4号許可)道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為
具体的な行為については、各都道府県道路交通規則に定められているので確認が必要です。
道路占用許可申請とは
続いて道路占用許可についてですが、こちらは道路上やその上空、地下に一定の施設を設置し、継続して
道路を使用することを目的とした許可です。
道路使用許可が道路交通法を根拠としたものであるのに対して、道路占用許可は道路法32条1項に基づいた
ものです。
道路を占用する場合、道路を管理している「道路管理者」の許可を得る必要があり、許可を受けた場合は
「占用料」が発生します。
注意点
道路占用許可では、道路を継続的・独占的に使用する場合を対象にしています。
一方、道路使用許可は、交通の安全に支障が生じる可能性のあるものを対象にしており、その行為の継続性は
問題としてはいません。一時的に道路上で行うものであっても、継続的な行為でも、どちらも対象となるので
注意が必要です。
つまり、道路占用許可に該当する場合は、同時に使用許可も必要となります。
許可が必要なケース
次のようなものは全て道路の占用に当たり、許可が必要です。
道路面の占用:側溝の蓋かけ、電柱、電話ボックス、郵便ポストなど
上空の占用:アーケード、日よけテント、突出看板、上空通路など
地下の占用:ガス管、水道管、地下ケーブルなど
許可が不要なケース
道路使用許可や道路占用許可が不要な場合もいくつか存在します。
まず、日常的な道路の利用についてです。
歩行者や車両の通行など、道路本来の目的に従って道路を使用する場合を「一般的使用行為」と呼びます。
この場合は、道路使用許可を必要としません。
次に、緊急時の措置です。
火災や事故など、緊急事態に対応するための活動は、許可を要しない場合が多いです。
例えば、消防活動や救急車の出動は、迅速な対応が求められるため、予め許可を取得する必要がありません。
また、短期間かつ軽微な工事や作業も、許可が不要となる場合があります。
例えば、住宅前のごく短時間の清掃や、軽微な補修作業などが該当します。
ただし、これらの作業でも交通に影響を及ぼす可能性がある場合は、事前に確認することが望ましいです。
道路使用許可申請・道路占用許可申請の違い
許可の基準
道路使用許可の場合
道路使用許可は、管轄の警察署長が、道路交通法第77条第2項の規定に基づいて判断します。
この際、次の①から③のいずれかの条件に該当する場合は、許可をしなければなりません。
①交通の妨害となるおそれがないと認められるとき
これは、申請された行為が交通の円滑な流れを妨げる可能性がないと判断される場合です。
例えば、歩行者や車両の通行を妨げない範囲での短時間・小規模の作業などが該当します。
②特定の条件に従うことで交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき
特定の条件や制約により交通の妨害が防げる場合に適用されます。
例えば、夜間の作業や適切な標識、誘導員の配置により、安全が確保できる場合です。
③公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき
交通の妨害が避けられない場合でも、公共の利益や慣習上、やむを得ないと判断される場合です。
具体的には、地域の伝統行事などです。
道路占用許可申請の場合
道路占用許可の基準は、各自治体や道路管理者により定められています。
詳しくは、各自治体のWebサイト等でご確認ください。
申請手続きについて
道路使用許可の申請先は警察署
道路使用許可は、道路交通法77条1項の規定に基づき、その地域を管轄する警察署に申請し、警察署長が
許可を出します。
道路占用許可の申請先は国や自治体の役所
一方、道路占用許可は、道路法32条の規定に基づき、その道路の道路管理者(国、都道府県、市区町村)
に申請を行い、道路管理者が許可を出します。
道路管理者は道路の物理的な保全としての管理を行う者で、国道ならば国の国土交通省、都道府県道ならば
各都道府県、市町村道であれば各市町村、区道であれば各区となります。
申請費用
道路使用許可
各都道府県が条例で手数料が定められています。
概ね2500円前後となっています。
道路占用許可
申請手数料はかかりませんが、許可を受けた後に道路占用料が必要になります。
この費用は、占用しているもの(種類)、大きさ、場所によって異なります。
占用料の算定方法
占用料=道路価格×使用料率×占用面積(×修正率)
必要書類
道路使用許可の場合
- 道路使用許可申請書
- 道路使用場所の位置図
- 道路使用状況図(作業帯図)
- その他必要書類(設計書・工程表・現況写真など)
道路占用許可の場合
上記に加えて道路占用許可申請書
申請期間
いずれも、すぐに許可がおりるものではない点に注意が必要です。
道路使用許可
概ね休日を除いて7日程度で許可がおります。
道路占用許可
概ね2~3週間程度で許可がおります。
上記期間はあくまで一般的なもので、役所や警察署により取扱が大きくことなります。
申請前には必ず、申請先に直接確認するようにしてください。
申請にあたってのポイント
事前に関係機関との調整を行いましょう
道路の使用や占用が他の計画や交通に影響を及ぼす場合があります。
事前に警察署や市区町村の担当部署と相談し適切な調整を行っておかないとスムーズに許可が取得できない
場合があります。
申請書類は細部までチェックしましょう
申請書類は細かい部分までしっかりとミスなく記入する必要があります。
特に、使用目的や期間、場所などの基本情報は間違えないようにしっかり確認して記入しましょう。
スケジュールに余裕をもっておきましょう
道路使用許可や占用許可の判断に当たっては各処との調整も必要になる為、手続きに時間がかかる場合も
多くあります。
特に、工事が集中する時期など申請件数が多い場合には、審査に時間がかかることも予想されます。
そのため、余裕を持ったスケジュールにより早めの申請を心がけてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は道路使用許可と占用許可についてそれぞれの制度や違いについて解説いたしました。
道路使用許可や占用許可は交通の安全を確保する上で非常に重要なものなので、必ず許可を取った上で
工事や道路の使用、工作物の設置等を行うようにしてください。
また、申請は複雑かつ時間もかかるので早めの対応をお願いします。
少しでも早く許可を取りたい場合や申請が面倒な方は、当事務所でも道路使用許可・占用許可の申請代行を
承っておりますのでお気軽にご相談ください。
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