建設業許可の要件:経営業務の管理を適正に行うに足りる能力とは?
目次
建設業に係る経営業務の管理を
適正に行うに足りる能力とは?
建設業許可を取得する為にはいくつかの要件をクリアしなければいけませんが、そのなかの一つに
「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める
基準に適合する者であること」というものがあります。
令和2年の法改正以前は「経営管理責任者」と呼ばれていた要件で、建設業を営む上で適正な経営管理の
体制を有することを求めています。
この適正な経営業務管理体制は許可を取得する上で最も重要なものとなります。
今回は「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」について解説いたします。
建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力とは?
許可を取得するためには、「建設業に関する一定の経営経験を有する者を配置するなどの方法で経営能力
を担保する体制を整える」ことが必要です。
令和2年の改正前は「経営業務の管理責任者(経管)」と呼ばれていました。
以前はこの経管が一定の経営経験を有している必要がありましたが、法改正により、経営経験が従来の
基準に満たない場合でも、組織として経営能力を担保し要件を満たすことも可能になりました。
とは言え、組織としての経営能力を証明することは非常に難易度が高い為、実務上はほとんどの場合、
従来の経管同様に、経営経験で要件を満たす事となります。
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力が求められる理由
建設工事は1件あたりの金額が高額で、工事完成までには多くの人材が必要となり、数ヶ月、年単位で
長期間かかるものも珍しくありません。
それに伴い、取引先も非常に多くなります。
そのため、会社や事業の経営状態が健全でなければ、多方面に悪影響を与えることになってしまいます。
人々の社会生活を支える重要な産業であるため、このような能力が求められているのです。
「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」の要件
この要件を満たすために必要な事項は「建設業法施行規則」で細かく規定されています。
(法第七条第一号の基準)
第七条 法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3) 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあつては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあつては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
(1) 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
(2) 五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。
建設業法施行規則/e-Gov法令検索
この要件を満たす方法は大きく分けて次の2つとなります。
①常勤役員等の経験で満たす方法
②常勤役員等の経験+それを補佐する者を配置し満たす方法
この2つの方法についてそれぞれ解説いたします。
常勤役員等の経験で満たす方法について
(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
取締役、執行役、組合の理事などの職歴により、5年以上の経営経験がある場合はこちらの要件で許可を
取得することができます。
ここで言う経営経験とは、
「営業取引上、対外的に責任を有する地位にあって建設業の経営業務について総合的に管理・執行した経験がある」
ことを指します。
簡単に言い直すと
法人の場合は代表取締役や取締役と指定の経験、個人事業主の場合は本人の経験を指します。
注意点としては役職名や肩書ではなく、実際に責任・権限を有していたかになります。
この要件は法改正以前の「経管」に近いもので、書面での証明が最もしやすいことから、多くの場合がこちらの要件で
許可を取ることとなります。
(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者
に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
「準ずる地位にある者」とは、(1)で該当する取締役等だけではなく、建設業に係る業務執行権限を委任されていた
執行役員等を指します。
この「準ずる地位にある者」は
「取締役会設置会社において、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受けた執行役員」
のみが該当することになる為、取締役会設置会社(比較的規模の大きい会社)での経験が想定されます。
また、具体的な権限委譲を証明する書類が無いと要件を満たすことは難しい場合があります。
(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に
従事した経験
この要件には、副支店長や副所長のような方が該当します。
建設業において6年以上そのような経験があれば、要件を満たす事ができます。
常勤役員等の経験+それを補佐する者を配置し満たす方法について
これらの要件は常勤役員等の経験だけでは「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する」とは
言えない場合に補佐役を付けることにより適正な経営体制を担保するものです。
(1)建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の
地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営を担当する者に限る。)としての経験を有する者
この要件では、まず次の2つを満たす必要があります。
①「建設業に関し役員経験が2年以上あること」
②「5年以上の役員等に次ぐ職制上の地位にある者」
これらをクリアした上でさらに「常勤役員を直接に補佐する者」として「財務管理」「労務管理」「運営業務」
について5年以上の建設業での業務経験をもつ者が補佐する体制を持つことが求められます。
(2)5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者
この要件もまず次の2つを満たす必要があります。
①「建設業に限らず、役員等の経験が5年以上あること」
②「そのうち、建設業の役員経験が2年以上あること」
これらをクリアした上でさらに「常勤役員を直接に補佐する者」として「財務管理」「労務管理」「運営業務」
について5年以上の建設業での業務経験をもつ者が補佐する体制を持つことが求められます。
補佐する者については1人で兼務することも可能ではありますが、求められる事項が多いことから、こちらの
要件を満たすことは現実的には難しいことが多いです。
最後に
いかがだったでしょうか?
今回は「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」の概要と要件について解説いたしました。
この点については建設業許可を取得する上で非常に重要なポイントとなります。
この要件が許可が取得できるかどうかに大きくかかわってきますので、必ず最初に確認するようにしましょう。
法律の要件は複雑な為、すこしでも不安がある場合はお近くの行政書士に問い合わせされることをお勧めいたします。
当事務所でも建設業許可を専門的に取り扱っておりますので、福井、石川で許可取得をご検討されている場合は
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